一休道歌(11/8)
一休さんの歌を、いくつか紹介してみましょう。
それだけでは面白くないので、そのそれぞれに
短い評語を添えてみることにしました。
(酬恩庵 一休さんのとんち橋)
「このはし わたる べからず」
☆「骨かくす皮には誰も迷いけん 美人というも皮のわざなり」
大雲いわく、
「それはそうですが、一休さんも美人はお嫌いではないでしょう?」
☆「死んでから仏になるはいらぬもの 生きたるうちによき人になれ」
鈴木大拙翁もいわく、
「死んでからでは遅くはないか?」
☆「悪しくともただ一筋に捨つるなよ 渋柿を見よ甘干となる」
大雲いわく、
「おっしゃる通り。昔ぐれていた、わたしの中学時代の同級生が、
今では人気の寿司店の主人となっております。」
☆「捨て果てて身はなきものと思えども 雪の降る日は寒くぞありける」
山本玄峰老師いわく、
「心頭滅却すれば火もまた涼し、と言うから、
火箸を手でつかんでみたら、やっぱり熱かったわい!」
☆「皆人は欲を捨てよと勧めつつ あとで拾うは寺の上人」(「上人」は「商人」との掛詞)
大雲いわく、
「だから坊さんは嫌われるのですね!」
☆「大方は学者の知恵は付け焼刃 生まれの智恵をみがきたまえや」
竹田黙雷老師いわく、
「賢そうな奴からカナケをとって、一人前の馬鹿に仕上げるには、
二三十年はかかろうとて。」(拙著『禅に親しむ』227頁を参照)
☆「そのままにうまれながらの心こそ 願わずとても仏なるべし」
南泉普願禅師いわく、
「平常心(びょうじょうしん)是れ道。」
大雲いわく、
「平常心とは、生まれながらの心のこと。
仏として生きるとは、生まれながらの心で生きて行くこと。」
☆「生まれては死ぬるなりけりおしなべて 釈迦も達磨も猫も杓子も」
大雲いわく、
「原担山和尚、東大総長の葬儀の折り、列席者にむかって、
雷のごとき大声で『お前らも死ぬぞ』と。
だから、一休さんも、『ご用心、ご用心』と、
いつもおっしゃっていたのですね。」(同上、14頁、47頁を参照)
(酬恩庵 小僧の一休さん)