建築から見た長岡禅塾(1/19)
今年も1月17日がやってきた。
阪神・淡路大震災から、この日で24年になるという。
私はこの地震を長岡京市内の自宅で経験した。
幸い、わが家に大した被害はなかったが、
高速道路がまるで飴細工のように、
捻じれて横倒しになっている無残な姿を、
テレビが映し出しているのを見て愕然としたことを覚えている。
その後も、東日本大震災をはじめとして、
日本各地で大きな地震が相次いで起っている。
それだけではない。
近い将来、南海トラフ巨大地震の起る可能性も報じられている。
そこで地震のための備えを急ぐ必要があるわけであるが、
長岡禅塾でも数年前から耐震の工事が進められている。
その流れの中、今月の11日に関係者による協議会がもたれた。
その折のことであるが、
工事担当者の方から思わぬことを知らされたのである。
なんと長岡禅塾の建物が、京都教育委員会の発行する
冊子『京都府の近代和風建築』の中で、
その代表的建築200数件(京都の有名寺院・神社を含む)の一つとして、
2頁(A4判縦2段組み)にわたって紹介されているのである。
(長岡禅塾 図面)
(長岡禅塾 航空写真)
その終わりの部分では、次のように記されている。
「配置構成、内部空間の造形に、
宗教建築の通例にとらわれない独特の様相がみられ、(中略)
規則にとらわれない造形にまとめあげた点で、特異な例である。
伝統的造形より、むしろ同時代の機能主義的建築思想に近い
ところで造形化された建築といえよう。」
私も塾内に居住してみて、他の禅道場と違い、
実に機能的にできていると、常々実感していたのであるが、
建築の専門家からそう指摘されて納得がいった次第である。
問題は、長岡禅塾が上記のごとき文化的価値の
きわめて高い建造物であると分ったとなると、
その点にも配慮して耐震工事を進める必要があるいうことである。
なぜなら、そこでは当然、文化というものに対する、
関係者の見識が問われることになるだろうからである。
私としては、後世への贈り物としても、
「近代和風建築」を代表する建造物の一つ、
長岡禅塾をできるかぎり原型に近い形で
残しておけたらと考えている。