カメ・イタチ・ヒト(6/13)

 

紫陽花(禅塾お花畑)

 

毎年、梅雨時のこの季節になると、

周りの池から、土手をよじ登って、

カメが産卵のため、

禅塾の庭にお出ましになる。

 

その数、一日に十匹以上、

朝に庭掃除に出ると、

産卵の場所を探しながら歩くカメに

必ず、一匹か二匹に出会うことになる。

 

禅塾の庭は、

白砂あり、苔あり、畑あり、木陰ありで、

カメの産卵には格好の場所らしい。

 

ところが、

カメが眼に涙しながら、苦労して産んだ卵を、

イタチが夜のうちにやって来て、

穴から卵を掘り起し、そこら中に食い散らすのである。

 

カメも子孫を残すために、

カメなりの知恵を必死にしぼり、

産んだ卵が他の生物に見つからないように、

場所を選んで産卵する。

 

畑で産卵するカメ(禅塾菊畑)

 

が、イタチの嗅覚はその知恵をはるかに上回る。

どんなに分かりにくそうな場所であっても、

イタチは一晩、禅塾の庭を嗅ぎまわって

カメの産卵の場所を見事に嗅ぎ付けるのである。

 

朝、庭に出て、

イタチの食い散らかした、

カメの卵の小さい白い殻を見つけると、

なんとも残酷な感じがするのであるが、

これはこれで、自然の摂理というものなのだろう。

ところが、事はそれで終らないのである。

こちら(ヒト)は庭掃除に出ているのである。

だから毎朝、狼藉者イタチの後始末を仰せつかることになる。

まず、一メートル四方に散らかった卵の白い殻を集めてまわる。

つぎに、散乱した土をまとめて穴の中に埋め戻す。

 

土が白砂や苔に散乱していれば、

これがちょっと面倒な仕事になる。

このようにして、この季節は、朝から、

カメとイタチとに、よい修行をさせていただくわけである。