心にしみる良寛の歌 (令和3年11月24日)

 

山茶花(長岡禅塾)

 

草枕 夜毎にかはる やどりにも 結ぶはおなじ 古里のゆめ

*良寛、全国行脚の折りの歌、望郷の念しきりなり。

 

八幡の 森の木下に 子供らと 遊ぶ夕日の くれまをしかな

*子供たちと遊ぶ童心そのままの良寛。日の暮れていくのがうらめしい。

 

人の子の あそぶを見れば にはたづみ 流るゝ涙 とゞめかねつも

*元気に遊ぶ子らを見るにつけ、 亡くなった人の子のことがいっそう愛しく思われる。

 

世の中の 玉も黄金も 何かせむ 一人ある子に 別れぬる身は

*蒼天、蒼天(ああ、悲しい、悲しい)。

 

水の上に 数かくよりも はかなきは おのが心を 頼むなりけり

*良寛の念仏の声が聞こえてきそうだ。

 

手を折りて 昔の友を かぞふれば なきは多くぞ なりにけるかな

*大雲、切なり。

 

今さらに しなばしなめと 思へども 心にそはぬ いのちなりけり

*南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

 

老が身の あはれを誰れに 語らまし 杖を忘れて 帰へる夕暮

*大雲、切なり。

 

いとはねど 何時か盛りは 過ぎにけり 待たぬに来るは 老にぞありける

*大雲、切なり。

 

ゆくりなく 一と日一と日を 送りつつ 六十路あまりに なりにけらしも

*たれか切ならざる。

 

あしびきの 岩間をつたふ 苔水の かすかに我れは すみ渡るかも

*岩間の苔清水のように人目を避けて独居する良寛。

 

よの中に 交らぬとには あらねども ひとり遊びぞ 我れはまされる

*世間の人と交わるのも悪くない。けれども一人でいるのはもっとよい。

 

事たらぬ 身とは思はじ 柴の戸に 月もありけり 花もありけり

*無一物中、無尽蔵、花あり、月あり、楼台あり。

 

うま酒に さかなもてこよ いつもいつも 草の庵に 宿はかさまし

*甘い菓子はいらぬ、旨い酒のさかながよろしい。

 

たらちねの 母がかたみと 朝夕に 佐渡の島べを うち見つるかも

*佐渡は良寛の母の里なり。

 

如何にして 誠の道に かなひなむ 千とせのうちに ひと日なりとも

*南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

 

峰の雲 谷の霞も 立ち去りて 春日に向ふ 心地こそすれ

*春のうららかな一日。良寛の気持が天地いっぱいに広がっている。