今年の年賀状から(令和4年1月12日)
「正月の喚鐘台」
(参禅者は老師の室に入る前に、この鐘を二つたたいて入ることになっている)
今年も卒塾生のR.H.さんから賀状が届きました。
彼女は平成2年の入塾で、
京都市内の短大を卒業するまでの2年間を禅塾で過ごしました。
その頃のことでよく覚えているのは、
入塾して最初の、一週間つづく厳しい大接心を終えた後、
彼女が達成感の感激に涙しながら、
故郷で心配していた両親に電話をしていた様子です。
短大を卒業して帰郷した彼女は、
そこで就職し、やがて結婚して2児をもうけました。
そのうちの一人が男の子でしたが、
その子がなぜか中高生の頃から西田哲学に興味を持ち始めました。
(彼が西田哲学に興味をもったのは、R子さんが在塾中、提唱時に
浅井老師から聞いた西田のことを息子さんに伝授したためではないか、
と想像したりしています。)
彼女がそのことを私に知らせてきたことがありましたので、
手元にあった西田哲学の入門書を数冊郵送したこともありました。
その息子さんは優秀だったのでしょう、
やがて医学部に進学しました。
今回の年賀状にはその息子さんと卒塾生である母親の近況が、
連記されていましたのでここに転記させていただきます。
息子さん:「息子のSです。1月から臨床実習が始まり、大学病院で勉強します。春から5年生になります。『西田幾多郎随筆集』や、藤田正勝著『日本哲学史』を読んで、西田先生がアリストテレスに興味をもたれたことを知り、私も古代ギリシアの文学や哲学を少しずつ勉強しています。」
母親(卒塾生):「私は息子が勧めてくれる本を読んでいます。息子が帰省した時にはその本について話をします。おもしろいです(10月に50才になります)。」
「この親にして、この子あり」とは、
このような親子のことを言うのでしょうか。
うれしいことです。