老子を楽しむ(2)(令和4年11月9日)
コスモス(長岡京市内)
道(タオ)の働きは、なによりもまず、
空(から)っぽから始まる。それは、
いくら掬(く)んでも掬みつくせない
不思議な深い淵とも言えて、
すべてのものの出てくる源(みなもと)だ。
(加島祥造『タオ――老子』第4章)
*禅には「無一物中、無尽蔵」の語句がある。
自分のなかにある素朴な素質を
なによりも大事にすること…
自分のなかにある本性は、もともと、
我(が)を張ったり、
欲張ったりしないものだ、と知ること…
まあ、これだけは、
時おり、思いおこしてほしいんだ。(同上、第19章)
*仏教では「無我」が言われる。
まわりの人が
君のことをあれこれ言ったって
気にしなきゃいいんだ。
台風は上陸したって、
半日で過ぎ去る。
二日とつづかない。
道(タオ)につながる大自然でさえ
この程度しかつづかないんだ。
ましてや人間関係の騒ぎなんて
気にすることはないのさ。(同上、第23章)
*禅には「独坐大雄峰」の語句がある。
他人(ひと)の物を欲しがるのが
いちばん過ちの元なんだ。
いまあるもので充分、
と知る人だけが、
いま生きることの豊かさを知るんだよ。
自己否定をしろとか、欲するなとか
言うんじゃないんだ――いいかい、
ただ、
どこで止まるかを知ること、それだけさ。(同上、第46章)
*仏教には「少欲知足」という言葉がある。