老子を楽しむ(3)(令和4年11月23日)

 

イチョウ(長岡禅塾近辺)

 

加島祥造『タオ――老子』筑摩書房刊より

子供に知識ばかり詰めこんで

子供のなかの自然の成長力を奪う時

その子がどんなに不幸になるか、

みんな知っている。

それでもある人びとは

子供に知識を詰めこむことを止めない。

国のことだって同じさ。

国民にやたらに情報をばらまいたって、

そしてますます小利口にしたからって、

人びとは平安なライフを持てるわけじゃない。

それはただ競争心をあおり

先への不安を深めるだけだ。

・・・

知識をいくら詰めこんだって

世界の平安も人びとの幸福も

やってこないよ。

 

 

私は

三つの宝を持っていて、それをとても

大切にしている。

その一は愛すること、

その二は倹約すること、

その三は世の人の先に立たぬこと。

 

私の言う愛とは

母のもつようなあの深い愛のことだ。

この深い愛があればこそ

人は本当に勇敢になれるんだ。

倹約とは、物ばかりでなくて、

道(タオ)のくれるエナジーを節約することだよ。

よく節約することで、人は

はじめて寛大に分けることができる。

このエナジーを蓄えて

先に立とうと争ったりしなければ

いつしか大きな器量の人間になる。

 

深い愛がなくて

なお勇敢に振舞おうとしたり、

蓄えもないのに

やたら気前よくばらまいたり

後にいるのをやめて

無理に先頭に立ったりすれば、

これはみんな早いとこ

墜落することになるのさ。

・・・

道(タオ)の力を宿す天は、

こういう深い愛で

その人を守っているのだよ。

 

 

本当の言葉というものは

甘い響きのものではない。

甘い響きの言葉は

本当の言葉ではない。

腹のある人は

あまり喋らんものだし

喋りまくる人は腹がないんだ。

真に賢い人とは

知識を漁(あさ)って広く知る者じゃない。

広い知識を自慢する者は、

真に賢い人ではない。

 

道(タオ)によくつながる人は

蓄めたり積んだりしない、そして

いつも他人(ひと)の為にしようとする。

そうすることによって

ますます自分が豊かになる。

内に持つものを

すっかり他人(ひと)に与えようとする、

そうすることで

ますます多く与えられる。というのも

こうすることが天(タオ)の働きだからであって

タオの働きは、

他人(ひと)に益を与えるけれど、害はしない。

この働きをよく知る人は、

だから

何か行為をする時、

争わないのだよ。

争わないでするのだよ。

 

 

 

 

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