孝慈室語録-1

 

ススキ(長岡禅塾)

 

正邪の彼岸

 

正が正を固執し自己を主張し、

邪をどこまでも打ち滅ぼしてゆくのではなく、

正は正しいままに正を忘れ、

いわば対立する邪を徳でもって包んでゆく。

邪を諷化して自然にと正に転ぜしめるのが本当の正しさである。

 

この境涯に安住すれば、一時の勝負、順境逆境は時の運であって、

それにつき一喜一憂するには及ばぬ。

晴れてよし曇りてもよし富士の山、もとの姿は変わらざりけりである。

(『森本省念老師』上)

 

*「孝慈室」は森本老師の室号。

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