孝慈室語録-6
百日紅(長岡禅塾)
よろずの事みなもて そら言たわ言
美醜、善悪は皆相対的にして絶対でない。
何れも比較上の話だ。
東洋人の美と西洋人の美と天地隔壁、
善と不善も亦然り。
時代と処によって標準を異にする。
社会一般の通念というも時運にて変遷し昨是今非。
哲学史上の定説なく、甲論乙駁は親鸞上人の如く
一切の価値判断は「そら言たわ言」であることを反省せしむ。
所謂流行の群集心理は
社会通念の虚妄性を暴露する。
(同上、53頁)
*表題の出典は『歎異抄』。