孝慈室語録-12
禅堂前庭の紅葉(長岡禅塾)
禅 行きづまり打破の道
禅は諸道に通ず、といわれるが、
これは禅者が諸道に通じておるということではなく、
諸道の学習が行きづまり、
学人がそれを突破する際に
禅的な心の転開が現出する、の意であろう。
宮本武蔵は晩年に剣をすてて禅にひらけて来た。
その兵法は禅となって書に絵画に彫刻に
無師の作用を現わした。
柳生但馬守も剣術を縁として沢庵和尚への参禅となった。
漱石は禅の素人であるが、
その小説を読んで参禅へと志す青年もある。
(『禅 森本省念の世界』22頁)