仏法のことは急げ急げ
ムクゲ(長岡禅塾近辺)
仏法には、世間のひまを闕(かき)てきくべし。
世間のひまをあけて、法を聞くべきやうに思ふ事、
浅間敷ことなり。
(仏法というものは、
世間のことに費やす時間をさいて聞かねばなりません。
世間のことが暇になってから仏法は聞くもののように考えるのは、
とんでもないことです。)
仏法には明日といふ事は、あるまじく候。
仏法の事はいそげいそげ。
(仏法においては、何事でも明日ということがあってはならないのです。
仏法のことは、ただ急げ急げ。)
『蓮如上人御一代記聞書』
*「明日ありと思ふ心の仇桜夜半に嵐の吹かぬものかは」(親鸞上人)。
*禅語に「生死事大、光陰可惜、無常迅速、時不待人」がある。
*また裏千家今日庵の由来となった清巌和尚の言葉「怠けものの拙僧には明日の事はお約束しかねます(懈怠比丘不期明日)」なども思い出される。
*上掲法語の現代語訳は瓜生津隆真訳による。
*<補足>法語掲示板19で「聴聞は真宗におけるもっとも大切な行である」と書いた。自らの信心の正邪を確かめるための聴聞の場での談合(話合い)は、禅修行における公案を用いての参禅弁道に相当するように思われる。