傘寿老人の川柳傑作選(令和5年2月8日)

 

雪景色の通用路(長岡禅塾)

 

昨年(2022年)の一年間、朝日川柳に載った川柳の中より、今年傘寿を迎える好日日記主人の意を多少なりともくすぐった句を選んでみた。(評)は主人の寸評。

 

〇何べんも覗きに来るな 生きとるワイ(京都版、木村俊博)

(評)年寄の長風呂。そう言われても、放っておくわけにはゆきません。

 

〇服(の)んだよな今朝の薬は服んだよな(京都版、横田佳津子)

(評)70を越えた人ならだれでも経験あること。好日日記主人もまたしかり。

 

〇心頭の滅却よりも缶ビール(石川 彰)

(評)「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言うけれども。

 

〇節電にいらつく辛い「忍」でっせ(野田充男)

(評)この回文の見事さにただただ驚かされるのである。

 

〇らっきょ漬け漢字書けぬが漬け上がり(松本秀子)

(評)知覚より味覚が優先ということか。

 

〇人生に義理も転げる下り坂(京都版、北山和美)

(評)「年賀状、来年より欠礼します」、とか。

 

〇老いたれば饅頭喰って時代劇(中川順一)

(評)禅者なら。老いたれば午睡の後の茶を飲みて眼前の山を楽しむ。「老倒疎傭無事日 安眠高臥對青山」。

 

〇先生と呼ぶは変やろやめとこや(尾根沢利男)

(評)だれもかれも「先生」と呼ばれる時代。「先生」が多すぎます。実は「老師」も「先生」の意なのですが・・・。

 

〇カルガモとパンダばかりになぜ優し(横井正弘)

(評)天使のような幼子の虐待は絶対にあってはなりません。

 

〇天婦羅屋衣を薄く更衣(ころもがえ)(小山安松)

(評)物価高の中での苦肉の策。そこに目くじらたてずに、さらっとやり過ごすところが妙。

 

 

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