2024 大雲勝手選(俳句・短歌)(令和7年1月4日)
皇居(手前の緑色の屋根)と富士山(左上奥)
明けましておめでとうございます。
恒例の年始めの「大雲勝手選」を披露させていただきます。
2024年、朝日新聞の俳壇・歌壇に掲載された俳句・短歌の中から、拙僧の気に入ったものを勝手に選んでみました。
<俳句>
〇生き死(しに)のおまけのような日向ぼこ(新井高四郎)
〇生老病あとは知らぬぞ菫草(すみれそう)(小田正治)
〇老境は光る枯野を行く如し(信里由美子)
〇冬木立脱ぐものの無き姿かな(松木長勝) *「無一物」
〇秋燈やみな遺しゆくものばかり(北野みや子) *「空手来、空手去」
〇借命(しゃくみょう)の清水ごくごく呑むばかり(萩原行博)
〇露の世をみな懸命に生きてをり(北村和枝)
〇仏壇に今も置かれし夏帽子(はやし央)
〇かなしくはしやぎ蜻蛉(とんぼ)となって友がくる(青柳悠)
〇愚禿親鸞大愚良寛万愚節(谷茂男)
<短歌>
〇むさし野の柞(ははそ)の森のもみじ葉の ふり積む音の中に逝きたり
(斎藤哲也)
〇やわらかき橡(とち)餅はめば庄内の 秋の深山の土の香のたつ(沼沢修)
〇山も野もなべて末枯(すえかれ)ひっそりと 甲斐も信濃も静まりにけり
(松木長勝)
〇ひこばえの緑うすく出し田に 籾殻燻す煙たなびく(松下二三夫)
〇霧深き知床五湖を訪ねゆき 巨(おお)き角持つ鹿に逢いたり(塚本夫士枝)