山登り(10/18)
秋本番
行楽のシーズンとなった。
近くの山に登ってみたくもなる。
これでもわたしは、
大学時代にはワンダーフォーゲル部に所属していて、
春・夏の休みの期間を利用して、
九州の由布岳、四国の剣山、東北の月山など、
各地の山に出かけたものである。
なかでももっとも印象に残っているのは、
夏の合宿で、10日間ほどかけて皆で縦走した、南アルプスだ。
当時は登山路も、まだ十分には整備されていなかったから、
ずいぶん危険の多い山行であった。
身心の疲労は相当なものであったが、
つぎつぎに3000メートル級の山を踏破し、その頂に立ったときの爽快感、
雲海の彼方にいつも頭をだして、私たちの疲れをいやしてくれた富士山、
わけてもその朝焼けの神々しい姿、
それらは今も忘れることができない。
さて、わたしという、人生の渡り鳥(ワンダーフォーゲル)は、
現在は膝を痛めていて、残念ながら山行きはできない。
そのかわりにテレビで、山の番組を見たりする。
今よく見るのは、NHKでやっている「にっぽん百名山」。
さだまさしの歌っているテーマ曲もよい。
あれを聞くと、自分まで天空に引き上げられる気分になる。
この頃は、車窓から見る富士山の姿を見るのも、楽しみの一つである。
「晴れてよし曇りてもよし富士の山 もとの姿は変わらざりけり」(山岡鉄舟)
富士山は、なぜ人に愛されるのか。
わたしにとっては、独坐大雄峰たるところが、
とくに好ましく思われるのである。