追悼 直木孝次郎先生(2/20)
直木孝次郎先生からいただいた著書
(北野大雲老師 所蔵)
17日の新聞で、
大阪市立大学名誉教授で
岡山大学、相愛大学でも教鞭をとられた
直木孝次郎先生のご逝去の報に接した。
先生とは
私が相愛大学に勤めさせていただいた時に
ご一緒させていただいた。
相愛大学は当時、
新たに人文学部を立ち上げ、
そこの日本文化学科の教授として
直木先生がすでにおられ、
私は創設2年目にして、そこに加わらせていただいた。
先生は日本古代史が専門で、
戦後の古代史研究をリードされただけではなく、
大阪の難波宮跡など
全国の重要な遺跡の保存にも積極的に取り組まれた碩学であった。
先生の思い出として強く記憶に残っているのは、
先生は大変な健啖家で、健脚の持ち主であったことである。
たまにお昼をご一緒することがあった。
先生は当時70歳前後であったと思うが、
若者が好みそうな、ボリュウムたっぷりの
油の濃い唐揚げ弁当を所望されたりしていた。
健脚のことを言えば、相愛大学は大阪の南港にあるが、
途中、地下鉄住之江駅からニュートラムに乗り換えるのに、
非常に長いエスカレータを利用しなければならない。
そんな時、途中で立ちどまっている私を横目に、
先生はぐんぐん追い抜いて行かれるのであった。
有難かったことは、
大学者であったのにもかかわらず、
私などにも気さくに接していただいたことであった。
岳父の歌集を差し上げたら、丁寧なご返事をいただいたりもした。
ご著書も出版されるたびに頂戴した。本当に心配りの細やかな先生だった。
先生の御冥福をお祈りしたいと思う。