寅年にちなんで(令和4年1月5日)
「虎嘯風生」(北野大雲老師)
今年は寅年ということで
「虎嘯風生」の文字を揮毫してみました。
この言葉は本来、
「龍吟雲起 虎嘯風生」のように
「龍吟雲起」と対にして用いられています。
「龍がうなると雲が起り、虎がほえると風が生ずる」というのですが、
普通は「英雄の決起に多くの同志がこれに從う」といった意味で
理解されているようです。
その言葉は禅の書物(『碧巌録』など)にも登場してきます。
その場合には、すぐれた禅僧の見事な働きをあらわす言葉として使われています。
昔から中国では龍と虎(龍虎)は、
卓越した者を喩える言葉として出てきます。
ところで真に卓越した人とは
どのような人なのでしょうか。
それはいつも無心に生きている人のことです。
いつも「一所(いま・ここ)」のことに「懸命」になっている人のことです。
そういう人の一挙手一投足は自然と
周囲に清風を送り込みます。
わたしは「虎嘯風生」をそのような意味で理解したいと思います。
この話とは別に、昨年の暮れに、
昔、花園大学で私の講義を聴いていた西川秀敏さん
(現在、法蔵禅師住職)が珍しい「干支ふきん」を
送ってきてくれましたので、画像で紹介しておきます。
干支ふきん「黙々行吾道」(西川秀敏さん)
虎の絵の上に「黙々行吾道」と書かれています。
「黙々として吾が道を行く」。
虎のように黙って(無心で)自分の目標を目指して行きなさい、
と諭してくれています。
この一年もそのように過ごして行きたいものです。