カーソン・マッカラーズ(令和3年5月5日)
つつじ(長岡京回廊公園)
カーソン・マッカラーズ!
私にとっては何ともなつかしい名前である。
今から50年ほど前、
広い道路を挟んで大阪駅の真向かいに旭屋という大書店があった。
確かその別館の2階が洋書売り場になっていたと思う。
私はその頃ある事情があって、
英語で書かれた面白そうな小説を探していた。
それで旭屋書店の洋書売り場に出かけてみた。
そこでたまたま出合ったのがカーソン・マッカラーズであった。
“The Heart is a Lonely Hunter”.
ペンギン・ブックスのそのタイトルに私の眼がとまった。
その著者Carson McCullersについては何も知らなかった。
ただ題名に強く魅かれたことだけを覚えている。
それ以降、同じ著者の小説を何冊か読んでみたが、
残念ながら今はそれらの内容について何も思い出すことができない。
カーソン・マッカラーズ(1917-1967)はアメリカの作家で、
“The Heart is a Lonely Hunter”(1940)は彼女の処女作である。
当時はまだ訳本は出ていなかったが、
現在では『心は孤独な狩人』(村上春樹訳)という名で出版されている。
急にこんなことを書きだしたのは、
児童文学作家の角野栄子氏が、
卒論でカーソン・マッカラーズのことを書いた、
と述べている新聞記事を見たからである。(朝日新聞朝刊、4/29)
そのことでそれまで記憶の底に沈んでいたマッカラーズの名前が、
急に半世紀の時を経て私の意識のうえに出現してきたのである。
この経験は自分と同じ関心をもった人が他にもいたという嬉しさとともに、
その本にまつわる当時のいろいろの事を思い出させてくれることにもなった。